第7章

松島グループのオフィス。高橋隆がドアを押し開けると、その視線はすぐに松島桜の傍らに控える、物腰恭しく容姿端麗な若い男性に注がれた。

この新しいアシスタントは、佐々木健と瓜二つだった——一流大学を卒業し、整った顔立ちで、立ち居振る舞いも洗練されている。

彼は松島桜に何かを低頭して報告していたが、人が入ってくるのを見ると即座に口を噤み、半歩後ろへ下がった。

高橋隆は冷笑を浮かべ、目に嘲りの色を滲ませた。

「やっぱり、わざと俺を怒らせるために雇ったんだね」

松島桜は顔を上げ、その表情は水面のように静かだった。

「高橋さん、何か御用でしょうか」

「お前がわざと男を雇って俺を怒...

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